【ワンポイントリハビリ】ロコモティブシンドローム
筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、もしくは複数に障害が起き、歩行などの移動能力低下や、日常生活になんらかの障害をきたしている状態、またその危険性が高い状態になることです。
2007年に、日本整形外科学会が新たに提唱しました。「ロコモ」の提唱には、「人間は運動器に支えられて生きている。運動器の健康には、医学的評価と対策が重要であるということを日々意識してほしい」というメッセージが込められています。
ロコモの原因としては骨粗鬆症、変形性膝関節症、変形性腰椎症などが挙げられます。これら三疾患のいずれかを持っている割合は、男性84.1%、女性79.3%となり、40歳以上での推計患者数は4700万人(男性2100万人、女性2600万人)で、男女の有病者数が逆転し女性が増えるのは、更年期障害症状や骨粗鬆症、筋肉量が男性に比べて少なく、膝などの関節に負担がかかりやすいといった理由が考えられるといわれています。
加齢や「閉じこもり」などで、運動不足になると、筋力低下やバランス能力の低下が起こり、容易に転倒しやすくなります。ロコモは国民病であり、メタボリックシンドロームや認知症などと並び、「寝たきり」や「要介護」の主要な原因です。
「健康寿命の延伸」、「生活機能低下の防止」には、予防、早期発見・早期治療が重要です。
ロコモティブシンドロームの判定にはロコチェックとロコモ度テストを用います。
☆ロコチェック
1)片脚立ちで靴下がはけない
2)家の中でつまずいたり滑ったりする
3)階段を上るのに手すりが必要である
4)横断歩道を青信号で渡りきれない
5)15分くらい続けて歩けない
6)2kg程度の買い物(1リットルの牛乳パック2個程度)をして持ち帰るのが困難である
7)家の中のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難である
※上記の7つの項目のうちひとつでも当てはまればロコモが疑われます。
☆ロコモ度テスト
1)立ち上がりテスト:下肢筋力を調べる
2)2ステップテスト:歩幅を調べる
3)ロコモ25:身体の状態・生活状況を調べる
※日本整形外科学会公認 複数のテストから機能、活動、参加の観点から総合的に判断され、必要に応じて医師の診断を受けましょう。