医療法人社団 新生会 南東北第二病院

ワンポイントリハ ウォーキングの新たな効果 ~がん死亡との関連~

がんは日本人の死亡原因の第1位です。2013年にがんで亡くなった方は364,872人(男性216,975人、女性147,897人)、新たにがんと診断された方は851,537人(男性496,304

人、女性355,233人)とされています。日本では2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなるといわれるなど、国民病ともいえるかもしれません。有効ながんの治療法の確立はもとより、がんの予防は現代の日本人にとって重要な課題です。

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がんの予防法として、「禁煙」や「禁酒」に加え、近年では「運動」や家事、仕事などの「身体活動」が注目されています。余暇の時間に積極的にスポーツ活動を行う、あるいは余暇の時間は少ないけれども家事や仕事などで身体をよく動かす生活を日常的に行っていると、がんにかかりにくく、また死亡しにくいということが明らかとなってきています。

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では実際に、どの程度の身体活動が、がん予防と関連するのでしょうか。比較的手軽に取り組むことのできるウォーキングを例にとってみてみましょう。

 

国立長寿医療研究センターでは一日の平均歩数を指標として、もともとがんでなかった40~79歳の男女1,709名の方を10年間追跡し、全てのがんによる死亡との関係を検証しました。

その結果、男性では歩数が最も多いグループ(8,500歩以上)のがん死亡のリスクは最も歩数が少ないグループ(6,000歩未満)の約3分の1でした(図)。また歩数が多いほどがん死亡のリスクは小さくなっていました。これは男性ではたくさん歩くことが、がんによりお亡くなりになる可能性を小さくすることを意味しています。

 

一方、女性では、歩数と10年の間にがんで亡くなることとの関係は見いだせませんでした。これはおそらく、国立長寿医療研究センターではがんで亡くなった女性が非常に少ないという統計学上の問題によると考えられ、女性では、

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ウォーキングのがん予防効果が無いことを示している訳ではありません。別の研究によると、女性においてもやはり運動・身体活動量が多ければ多いほど女性もがんにかかりにくくなる、ということが明らかとなっています。

 

運動や身体活動が肥満などの解消や予防に有効であることはよく知られていますが、がんの予防にも有効であることはあまり知られていません。ウォーキングは、野球のように特別な用具や多くの仲間は必要としないことから、誰もが簡単に行うことができる運動です。「最近歩いていないかもしれない」と心当たりがある方は、気候のいい時期に、お散歩や買い物などに出かけてみてはいかがでしょうか。

※参考【国立長寿医療研究センター】

 

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