〇「歩数」と「歩く速さ」がなぜ大切なのか?
厚生労働省が健康増進の目標に関する事項等を定めている健康日本21では、かつて「一日一万歩」の歩数を確保することが理想としています。しかし、最近は単に歩数だけじゃなく、運動の強度も重要であることが言われています。ウォーキングで運動の強度を調整するものが「歩く速さ」となります。歩く速さを変化させることによって、様々な筋肉を使うことできるため、筋力低下に代表される「転倒」「ロコモティブシンドローム」、健康寿命を脅かす「血管病変(脳卒中、心臓病など)」や「認知症」を予防することができます。
〇どのくらいの「歩数」「歩く速さ」がいいのか?
今回紹介するものは、中之条研究(65歳以上の高齢者5000人を対象に13年間疫学調査を行った研究)の結果から得られた、各病気の予防ラインとその歩数・運動強度になります。この中で、特に1日8000歩・20分の中等度強度運動(早歩き)が、生活習慣病や認知症を予防し健康づくりに効果的とされています。
引用:中之条研究「1年の1日平均の身体活動からわかる予防基準一覧」
〇はじめてみよう!
・まずは一日どれだけ歩いているか、確認してみよう
→最近の携帯電話やスマートフォンには、歩数の計測機能が備わっています。また、家電量販店などでも歩数を計測する万歩計を購入することが可能です。まずは1週間どこに行くときも持ち歩いて、自分がどれくらい歩いているのか把握しましょう。
・「少しずつ」取り入れていこう
→いきなり8000歩!20分早歩き!と思うと、身体が慣れず続けられません。
1日の歩数を確認したら、最終的に8000歩に到達するよう、段階的に歩数を多くしていきましょう。早歩きの時間も「まずは5分」というように、少しずつやってみるのがコツです。
・なによりも「継続」すること
→どんなことにも共通することですが、例えばたった1週間だけ歩数と歩く速さを意識したとしても病気や怪我を予防することはできません。自分に合った運動強度で長く続けることがなによりも大切です。また「なんのためにやるのか」という目的をはっきりさせることで、より継続できるでしょう。
参考資料
・厚生労働省 健康日本21 身体活動・運動分科会報告(案)p3~4
・青柳幸利 活発を測る:活動計を用いた日常生活の身体活動計測(中之条研究) The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 52巻1号 2015年1月
・中之条研究 1年の1日平均の身体活動からわかる予防基準一覧
・健康長寿研究所 メッツ健康法.com コラムより